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その夜、麻衣ちゃんから電話がきた。数日後にせまった初詣の予定決めと、アプリ企画の結果について。残念ながら不採用にはなってしまったが、社長には好評だったそうだ。本人も「次に繋げられればいい」と前向き。さすが。
「それでね、社長に話したんだ、日和のこと。今回の企画の相談にのってもらったのと求職中っての。そしたら、日和がその気なら面接してもいいって。チャンスだよ、上手くいけば採用になるかも」
嘘みたいな急展開に絶句。途端、麻衣ちゃんの声もしずむ。
「もしかして就職先もう決まった?」
「じゃないけど……」
昼間の蓮花さんの話をする。麻衣ちゃんは驚きつつも、
「そんな特技があったんだ。知らなかったよ」
「始めたばかりで、まだ商品と呼べないものだけどね」
「なおさらすごいじゃん! 蓮花さんって人も、見こみあるから声かけたんだろうし。私は日和と一緒に働ければ嬉しいけど、将来に関わることだからね、自分が納得できるほう選ぶのが一番だよ」
とはいえ早めに社長に返事しないといけなくて、明日中には答えをだすと約束し、電話をきる。
蓮花さんと麻衣ちゃん、二人の話がひっきりなし頭に去来する。それは深夜をまわってもやむことがなく、久しぶりに寝つけない夜をすごしてしまった。
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