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かくして、短期バイトが決まるまで蓮花さんのお店を集中的に手伝うことになった。お給料はおこづかい程度。なので、ひきつづき寄食させてもらえるよう和颯さんに頭をさげたところ、
「気にしなくていいって最初から言ってるじゃないか。俺の頼みでここに住んでもらってるんだから」
「けど、私だけなにも貢献できてなくて」
和颯さんには金銭面、八雲さんには食事面、朔くんにはメンタル面で支えてもらってるのに、私ときたら。
「そんなことない。ばあさんが死んでからというもの落ちこんでたんだが、ひよちゃんが来てくれたお陰で八雲も朔も明るくなった。もちろん俺も。感謝してるよ」
献身性を感じさせる和颯さんの笑顔はパワーをくれる。そのうえ、欲しいと思っている言葉も過不足なく。
「辰爺も言ってたろ。俺たちはどこかしら難がある。それでも補いあえば、うまくやっていけるもんさ。心配ない」
いったい、どれほど助けられているだろう。だからこそ一日も早く恩返しできるようになりたい。そのためには、まずは目の前のことに全力投球だ。
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