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海で出会った美少女
「海は 青いな。気持ち良いな。」
東京砂漠、コンクリートジャングルの中にいると、私は無性に海を見たくなる時がある。
愛妻の茉莉は、ラーメン屋のバイトが忙しいので一人でやってきた。
何をするわけでもなく、ボッ~としていると、「早まっちゃダメ!」と後ろから抱きついてきた者がいた。
武術家の習性で、サッ~とかわすとその者は海に落ちそうになった。
慌てて私がその者を抱きかかえるように、胸に引き上げた。
瞳と瞳が絡み合う。
ショートカットの下に、小麦色に焼けた顔に大きな美しい瞳と白い歯が光る美しい女子高生であった。こんな漁師町にいるとは、驚きだ。
その女子高生は自分自身、今時の美形であったが、私の容貌に頬を桜貝のように染めた。自分で言うのも何だが、結婚する前は平成の光源氏と謳われ、すこぶるモテた。
私は、その女子高生を優しく突き放す。
「私に、何の用かな。」
私は、紳士的に大人対応で聞く。
「ごめんなさい、海に身投げしそうに見えたもので。つい。」
素直に頭を下げられた。
「それは、すまないことをした。私がそんな風に見えるとは、やはり、疲れていたのかもしれぬ。心配してくれて、ありがとう。」
私は、決して、ロリコンではないが、何だか嬉しくなる。
「そんな、お礼だなんて。アタシの方こそ、助けてくれてありがとう。」
私たち二人は、お互い顔を見つめ、笑い合った。
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