第一の怪奇現象 付喪神は部屋にいる

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「……ひどい夜だった。」 いやまあ、怪奇現象が起きてひどくない夜なわけはないんだが。 貧乏な家を出た中学生の気持ちを考えろよ……。 ガサゴソ。 俺が今何をしてるかって? 捜索だ。 どうして怪奇現象が起きるのかつきとめて、二度と電気がつけっぱなしにならないようにしてやるんだよ! 押し入れの戸をがらりと開ける。 中に押し込めてあった布団を取り出して、床や壁、あらゆる場所を詮索していく。 一段目は、何の収穫もなしか。 次! 二段目に這い登り、隅々まで調べていく。 何もない。 そりゃそうだ、そう簡単に見つかるならとっくの昔に大家が発見してる。 次だ、次! 畳をめくるとお札があったってのはよくあるパターンだが、現実はそうもいかない。 畳みなんてめくれるわけないだろ! 洗面所も探した。 何の収穫もなかったが、何の異常もなかった。 昨日のガシャンという音は、やはり怪奇現象の一種だったようだ。 ふー……。 いや安心してる場合じゃない! 徹底的にやるんだ、徹底的に! どんな小さな異常も見逃さないよう、丸一日探したはいいものの。 結局、怪奇現象の原因になりそうなものは何一つなかったのだった。
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