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「ただいまー……。」
あー疲れた、これもすべて怪奇現象が悪い!
気分転換に散歩に行ったはいいものの、気が晴れるどころか寝不足で歩きながら寝そうになったり、疲労がたまっていたせいで大きな荷物を持ったお婆さんを手伝おうとしたら「いいのよ、若いんだから無理しないの。大変でしょう?」と逆に同情されたり、最悪だ。
今日は月曜日。
大捜索を行った翌日、平日だった。
が、学校に行っていない俺にとっては休日と同じ。
部屋にカバンを放り出し、畳に背をつけて仰向けに寝転がる。
と。
ガタンガタンガタン!
押し入れの戸が、勝手に揺れだした。
何だ!?
ガバッと体を起こす。
ガタン、ガタン、ガタンガタン、ガタンガタン、ガタン!
開けるのが怖いっていうのは、ない。
すでに半分戸が開いていて、中に誰かいるなんて怖い想像しないで済むからだ。
ここに来てからまだ二週間くらい。
その間に大量に経験した怪奇現象よりも、今は泥棒のほうが怖かった。
他の場所には異常がなさそうなので、押し入れに忍び寄る。
押し入れの戸が揺れなくなった。
が、また床に寝転ぼうとすると、ガタガタガタ。
何なんだ?
押し入れにもう一度近づく。
ガタガタガタ。
さらにもう一歩近づく。
戸は揺れなくなり、部屋が静まり返る。
俺は諦め、戻ろうとせずに勢いよく押し入れを覗き込んだ。
「!」
息をゴクリと飲む。
よく見るまでもなく、異常には気づいた。
押し入れの隅に、シミが浮かび上がっていたのだ。
断言してもいい、昨日までこんなシミはなかったはずだ。
一辺が三センチくらいの、正方形のシミ。
触ったら、間違いなくヤバいことになる……よな?
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