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ガタン。
何をすればいいのか分からず戸惑う俺を後押しするように、もう一度押し入れの戸が揺れた。
……ここで見て見ぬふりをして寝転がったら、ひたすらうるさく鳴り続けそうだ。
この戸に意思があるかは分からないが。
けど、今回ばかりは……。
このシミ、絶対まずいだろ。
そっと後ずさろうとした瞬間、まるで俺の意思を読み取ったかのように、
フワッ……。
カーテンが揺れた。
ゆっくりと振り向く。
窓を閉め切っているのに、カーテンがゆらりゆらりと揺れていた。
と、動かなくなったかと思ったら、カバンから変な音がする。
ひぃっ!
全身に鳥肌がたった。
ダメだ、こういうの俺はダメなんだ!
だってあのカバンには出かける時に詰め込んだ、必要最低限の荷物しか入っていないはず。
つづいて机から、誰かが叩いているようにドンドンという音が聞こえだした。
更に、電気の紐がブランブランと揺れ始める。
ようやく全部終わったと思ったら、とどめを刺すようにドン!と押し入れの戸が低い音をたてた。
「う、わあああっ!」
すぐ近くで聞こえた大きな音に、思わず飛びのいてしまう。
こ、こうなったら仕方がない……
とでも考えると思ったか!
これはダメだ、何があってもダメだ。
呪いにかかったりとか、祟りで死ぬとか、ほんと勘弁してほしい。
絶対嫌だ、無視してやるからな……。
ただのシミでも、気味が悪くて仕方ない。
____その時。
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