第一の怪奇現象 付喪神は部屋にいる

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えっと、まず、押し入れに突然現れた。 窓は閉まっていて玄関にはカギがかかっているのに。 さらに目の前には俺がいたから、隠し扉を通ってきたとか最初から押し入れにいたなんて絶対にない。 本当に煙みたいにボンッと現れたのだ、この子は。 そして、「見えるの!?」という言葉。 いや見えるに決まってるだろ。 まあ「ここって外」とか言っていたけどそれは意味不明なのでいったんおいておいて。 けど、突然現れたという不思議な現象と本人が周りに見えていないと思い込んでいることからして、そしてこの部屋では怪奇現象が起きていると言う事から恐らく、 「あ、あの、すごく失礼かも知れないんだけど、君ってその、____お化けとか、妖怪の類だったりする?」 「え゛?」 涙で顔をグシャグシャにさせていた女の子は、両腕で目じりを拭いながら上目遣いにこちらを見てきた。 ちょ、これって、他人から見たら完璧に俺は女の子を泣かすド変態____。 「お化けなんかじゃ、ないですよ。」 「あ、そ、そうなんだ、ごめんそうだよね、ごめん。いやだってさ、なんか急に現れるし、ちょっとなんていうか、けどお化けとか言いすぎだよね、あはは……。あ、あれ?そうしたら君、人間ってこと?」 「違います。」 「あ、人間でもないんだ……じゃ、じゃあ何?」 「私、付喪神です。」 「ん?」 一瞬、何を言われたのか理解できなかった。 「ごめん、もう一回言ってくれる?」 「私、付喪神です。」 律儀にもう一度繰り返す女の子。 それが俺、(とおる)と付喪神の(あき)の出会いだった。
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