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「領主をハーレムにいれるなんて、お前イカれてんな。その魅力がお前にあると?」
「いや、それを僕に言われても。……とにかく! みんなが一緒にいるのはそれが理由。ここからは僕が四季をまわっている理由なんだけど――」
と、僕は今までみんなに説明してきた太一とのあれこれを蔓に説明していく。蔓は時折相槌を打ちながら聞いてくれた。
「へェ……あの清流に落とされて無傷なんてことがあり得るのか」
「うん。僕は丈夫なだけが取り柄だから!」
「でも魔法は使えないと」
「残念ながらね」
「そんなことあり得るのかねェ……」
顎に手を添えていた蔓は、おもむろに僕へと手を伸ばすと、顎を掴んできた。突然のことで僕はされるがままだ。
「え、ちょっとなに!」
「うーん……本当に魔力がないのか。……いや、ないというよりも……」
至近距離で瞳を覗き込まれると、さすがに緊張する。今まで男の人と目があったくらいじゃなんとも思わなかったのに、蔓が相手だと動悸が止まらない。
これが色男の力ってことなのかな。でもそろそろ離れて欲しいと思ったり……うーん、どうしたものか。
と、僕がなかば悟りを開きかけた時だ。スパーンと襖が開かれた。
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