謎の神社

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謎の神社

朱嶺がクビになってから1週間後、志門達は日常を取り戻していた。 「なあ、時雨。俺、数学って必要ないと思うんだよ。だから、次の時間は寝る!」 「何言ってるのよ、志門。ちゃんと授業受けなさいよ。」 そんな夫婦漫才ような事をしているところに樹村がやってきた。 「あの志門先輩、時雨先輩いちゃついてるのは良いですけど、相談を聞いて欲しい人が居るので放課後、格技場に来てくれますか。」 「えー、今日は流星とゲームする約束してるんだけど。」 「志門、そんな事言わないで後輩の相談くらい受けてあげたら良いじゃない。」 「まあ、そうだな。少しで良いなら良いぞ。」 「じゃあ、後で。」 そして、放課後志門達は格技場に入ると美少年がいた。 「樹村、その人が?」 「あっ、志門先輩達。もう来ててくれたんですか? ええそうです、彼が志門先輩に言っていた、竜崎透真です。」 「お願いします、のどかを助けてください。」 そう言いながら竜崎は深く頭を下げた。 「のどかって水泳部の遠山か?」 「はいそうです。」 「そうか、何で彼女の相談を俺にしたんだ。」 「いえ、彼女じゃなくて幼馴染です。」 「そ、そうか、それで何で俺に?」 「樹村に中二病だけど、頼りになる先輩がいると聞いて。」 「樹村、お前なー。」 「いやそれより、竜崎君の話を聞きましょうよ。」 「そうだな、でどういう案件なんだ?」  「ことの始まりは2週間前です。…  のどかといつものように学校の帰っているときです。その日は少しいつもと違う道を通ると、知らない神社を見つけたんです。 その神社に興味を持った僕たちはそこを参拝しました。 しかしその帰りからのどかの様子がおかしくなりなったんです。その数日後のどかは学校で倒れました。入院して検査を受けたのですが原因は不明と言われました。 なのでまさかあの神社が関わっているんじゃないかと思い探してみたが見つからなかったのです。 竜崎は一息にこれまでの出来事を語った。 「それで俺たちは何をすれば良いんだ。神社を探すのか?」 「良いんですか、ありがとうございます!」 竜崎は勢いよく頭を下げた。 「じゃあ、俺と時雨で帰りながら神社を探すから、どこにあったのか教えてくれ」 「4丁目の自動車修理所の近くです。僕が案内しましょうか。」 「ああ、頼む。よし時雨、行くぞ」 「ええ。」 そして、志門たちは神社を探し始めた。 「本当にこの辺なのか?」 「はいそのはずなんですが…」 その時夕焼け小焼けが流れ始めた。 「おっと、では僕は門限があるので、失礼します。」 「ああ、またな。」 志門たちは竜崎と帰ろうとすると 「ねえ、志門こんなところあったかしら?」 「えっ、公園があるはずなんだが……。あれ、あの子。」 道の先に少女がパジャマ姿で歩いていた。 「遠山さんよね。なんでこんなところにそれにあの格好。」 「ああ、嫌な予感がする。追いかけよう。」 志門たちは走ってのどかを追いかける。しかし、のどかは歩いているはずなのにいくら追いかけても彼女との距離は縮まらなかった。 「なんで追いつけない!」 ただひたすらののどかを追いかけていると神社の鳥居が見えてきた。 「待ってくれ、遠山!」 指紋がそう叫んだ瞬間強い風が二人を襲った。 「うっ。」 その次の瞬間のどかはどこにもいなかった。 「この神社の中に入ったのか。というかどこなんだここは?」 「くちなし神社って言うらしいわよ。ほらそこに。」 時雨の指した方向みるとかすれた文字で『くちなし神社』と書かれた看板があった。 「じゃあ中を探してみるか。」 「そうしましょう。」 志門たちはそう言うと時雨は一礼して、志門はそのまま入っていった。 「志門!神社なんだから鳥居で一礼しなきゃダメでしょ。」 「ああ。」 そう言って二人揃って一礼しながら神社に入っていった。 「それにしても、いないわね。」 「ここじゃないのかもな。」 「じゃあ、お参りして他の場所に探しにいきましょうか。」 「待て!遠山が倒れたの、なんでだか覚えてるか。」 「あっ、確かここをお参りしたから…。」 「ああ、そうだ。と言うことは遠野はこの中にいる可能性が高い。」 「でも、見つからないわよ。」 「それが問題なんだよな。」 「うーん。」 少し考えていた時雨が顔を上げた。 「あっ、ならいっそお参りして見るにはどうかしら。」 「だから、危険だって言ってるじゃないか!」 「大丈夫よ。いざとなったら志門が守ってくれるでしょ。」 「そうは言っても。」 「じゃあ、私が倒れたら、ユニコーンのカードを使えば良いでしょ。」 「いや、だからそうは言っても危ないって。」 「もう!そうは言っても遠山さんを放っておくわけにはいかないでしょ!」 「分かった。じゃあ、一緒にお参りしよう。」 そう志門が決心した時、少女の声が聞こえた。 「これ、遠山さんの声じゃないの?どこから聞こえるのかしら?」 「あそこの拝殿じゃないか?」 奥にある拝殿が夕日で妖しく輝いていた。 「お参りなんか置いといて中に入ろうと。」 「ええ。」 志門たちは障子を開け中に入った。 「薄気味悪いわね。」 「ああ、なんだか寒いな。」 二人が中を警戒している中なった バンッ とという音に二人が後ろを振り返ると障子が閉まっていた。 「うわー!」 「志門、叫んでないで遠山さんを探しに行くわよ。」 「あっ、ああ」 二人は拝殿を探しているといきなり目の前に何かが飛んできた。 「わっ、今度はなんだ。巫女の人形?」 「なんで人形が浮いてるのよっ!」 そう、そこにはおかっぱで巫女の服を着た不気味な人形が浮いていた。 「まさか、お前が遠山さんをあんな目に遭わせたのか!なんの目的で、こんなことをしたんだ!」 すると人形から発せられた言葉なのか、それどころか声なのかさえ分からない、何かの音が部屋中に響き渡った。 「あー、耳が痛い。大丈夫か時雨。」 「ええ、だいじょう、っぶー」 そう叫びながらしぐれは突然飛んできた人形の髪の毛を避け尻餅をついていた。 「この人形!パワーカード、ユニコーン!」 志門はそう言いながらカード発動し、人形に突っ込んでいった。 「おりゃー。」 人形は志門に殴られ壁にぶつかった。 「ダヅドバ…」 やっと聞き取れる意味不明な言葉を残して人形は砂のように崩れ去った。 「なっ、なんだったんだあの人形。」 「志門。それより遠山さんを探しましょう。」 二人は近くに柱の影にのどかが倒れているのを見つけた。 「遠山さんっ!東山さんっ!」 「えっ、ここは何処。あれっ、黒城先輩なんでここに?透真は?」 「竜崎ならさっきまで一緒に探してんだが門限で家に帰ったんだ。」 「探す?門限?まだそんな時間じゃ?」 志門は今までのことをのどかに話した。 「なら、さっきからもう数日たっているんですね。」 「ああ、不思議だがそうなんだ。取り敢えず病院に戻ろう。」 「志門、何処の病院か分かるの?」 「あっ!」 その後のどかを家に送る志門たちを建物の影から赤茶色の髪の少年が見ていた。 「俺が倒すつもりだったのにあの黒髪の奴めっ!」 その少年は悪態をつきつつも志門たちは見続けていた。
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