序章

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物語とはどこで繋がるか分からない。 例えば、ある曇りの日。雲が月を隠した日。 夜道に光る赤信号。あたりに広がる霧がその赤を滲ませ、炎を連想させた。 道路に横たわった女の鮮血淋漓たる姿。 決して僕が轢いたわけではなかった。しかし、救急車を呼ぶのを恐ろしく感じた。 「し、死んでる?」 微かに上下する胸を見つめながら、僕は『119』をプッシュし息を整えた――。
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