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約束の日、僕は1時間早く待ち合わせ場所に行った。するとそこには、僕より少し年下に見える女性が背筋を伸ばして立っていた。
「こんにちは、お早いですね」
僕が声をかけると驚いたように、振り向いた。同時に黒く長い髪を耳にかける。袖から痛々しい包帯が覗く。
「あなたが……」
「少しだけ顔を覚えていました。突然声をかけてしまってすみません」
「いえ、こちらこそ失礼しました。今日は来てくださってありがとうございます」
お互い他人行儀で、話題もない。どうしたものかと僕は頭をかいた。
「怪我は大丈夫ですか?」
「怪我は大したことないんです。脳震盪でしばらく、意識を失っていたみたいで」
「すぐに退院できて良かったです」
彼女は薄く微笑むと、「はい」と言った。
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