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目が、見えなくなった。
それは突然すぎて。
目の前に何も無い。
いや、それさえも分からない。
見えないはずなのに、目が回りそうになる。
まるでずっと夢の中にいるような、不思議な感覚。
光がない。
今が朝なのか夜なのか、晴れなのか、曇りなのか、全くわからない。
朝の日の眩しさも、夜の星の儚さも、とうに忘れてしまった。
聞こえてくる音に表情がない。
なんの音なのか、どこから聞こえてきているのかがわからない。
耳を澄ませば澄ますほど、頭に入ってくる音が耳障りに感じた。
いっそこのまま聴覚も、他の全ての感覚も失って、無になってしまいたいとすら思った。
そんな私が光を取り戻したのは1冊の本を読んでからだった。
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