悲鳴

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目が覚めると真っ白だった。天井に付けられた明るい蛍光灯が虹彩を作っている。 「ここは、どこだ?」  真っ白な壁に床、拘置所にしてはやけに清潔な色使いだ。  ベッドのの上で頬に手を当てる。頬が痛い。あの角刈り強く殴りやがって。  俺はいったい、どこに。  そこで、俺はこの八畳間の白塗りの部屋で、小さな窓があることに意識がいった。顔からお腹までしかない枠組み。  窓からは通路を挟んで隣の部屋が見えた。そこには、少女がいた。ただしそれは、不健全そうなが付いたが。  少女は色白で、眼の下には隈が出来ていた。酷く病理的であった。 「おい、あんた、ここはどこなんだ?」 「ハハッ、新しい人来たのね。ご機嫌よう」  少女は乾いた笑いを浮かべて頭を垂れる。 「そうじゃなくて、ここはどこだって聞いてるんだ⁉︎」 「どうだったいいじゃない、入ったら二度と出れないんだから」 「どういうことだ、それ」 「もうどっちでもいいわよ、そんなこと。日付だってわかんなくなるし」 「少なくても何日くらい入ってるんだ?」 「もう、ずっとよ。ずっと。あなたが隣人5人目」  目眩がした。もう、ここから出られない? そんな馬鹿なことが。 「それより、あなた今日は歓迎会ね。気をつけないと」 少女が窓越しに傷だらけの腕を見せる。 「歓迎会?」  俺が聞き返した時、部屋のドアが開いた。白の防護服に身を包んだ二人組が俺を抑える。そして持ってきた白い椅子に座らせた。 俺はボンレスハムのように、縄で、椅子に縛り付けられた 「やめろ‼︎ なにするつもりだ、てめえら」 白い防護服の2人は、ニヤニヤ嗤っているような気がした。 「なにって新人教育だ」  濁声の声で答えたと思ったら、鞘からナイフを抜き取っていた。間違いなく、縄を切るためではないだろう。  濁声の方が俺の手の甲にナイフを滑らせる。 「さて、新人。これからは言葉遣いには気を付けないとな。俺たちもうっかりすることもあるかもしれない」 「ふざけるな‼︎ 俺をさっさとここから出せ」 「おっと、うっかりだ」 「ひぎゃあ‼︎」  手の甲にナイフが突き刺さる。痛い。血がどくどくと流れる。ナイフ捌きが滑らかだった。動物を処理するみたいな手つきだった。慣れている。 「抜いて、お願いだから」 「お願いですだろ、コラ‼︎」 濁声がナイフを捻った。 「いったーーーあああ、ひぃひぃ、抜いてください、お願いします」 「わかればいいんだよ。この調子でな」 今度の声は濁声よりはキーが高かった。そして 鳩尾に拳が飛んで来た。  呼吸ができなくなった。短く喉元を漁って、酸素を集める。次は右目辺りを蹴られた。意識が、視界がチカチカした。痛みに悶え苦しんでいるのを見て、男達は嗤っていた。 「なんで、こんなことを」  息も絶え絶えに俺は言った。 「自分でなにをしてきたか考えろ、クズが‼︎」 男は頬を殴った。口の中が歯で切れて、鉄臭い味がする。 「まあ、俺らにとっちゃ新しいオモチャが入って助かったわ」  再び鳩尾に拳がめり込む。意識がぼんやりとしてきた。短く呻くぐらいしか出来なかった。 「じゃあ、この辺でお仕舞いにしといてやる。いいか。俺らの命令は絶対だ。医務係が来たらちゃんと手当てを受けろよ。じゃないと同じことが続くぞ」  俺は小さく頷く。  
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