ヤクザ

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ヤクザ

すごく綺麗なところ いや、綺麗と言うよりオシャレに近いかな モノトーンだけど、キリッとしてる 「ここよ」 うわぁ、ここは一際高級感溢れるドアだな ザ社長室って感じ あっ、でもこれから会うのは『社長』じゃなくて『会長』か コンコン 凛さん、映えるなー 「会長、失礼します。例のあの子連れてきました。」 わっ『例のあの子』って私悪いことしちゃったかな おぉ、ここもすごい高級感溢れるところだな あの椅子に座ってるのが『会長』かな 「あぁ、君だね。井岡 龍也(いおか りゅうや)の妹は」 「は、はい」 「えっと、、名前は、、、」 「葵です」 「あぁ、そうだった。よく龍也から話を聞いていたよ。自慢の妹だって」 「あ、あの、なぜ兄の名前を?」 「あぁ、私はいわゆる君の兄の上司なんだ」 あぁ、そうなんだ お兄ちゃん、こんなの高級感溢れるところで働いてたんだ 確かに、いつもスーツ来てたもんな 「それで、えっと、なんで私はここに?」 「君がどこまで記憶が残っているか分からないが、龍也から自分の身になにかあったら君をここで養って欲しいと言われてたんだ」 お兄ちゃんの身になにかあったらここで私を養ってもらう? なんでそんなことまで 「龍也のことは本当に申し訳ないと思っているよ」 「いいんです。私も、あの日、お兄ちゃんの雰囲気がいつもと違うし、もう会えねいような言い方だったのに止められなかったし」 あの日のお兄ちゃんは確かにいつもと雰囲気が違った もう会えねいような言い方だったし 『ごめん』とか 「それで、君を養うと言ったが平日はそのまま学校に行って、休日は凛のところで働いてもらう。だから、寝泊まりするのも凛のところだ」 凛さんのところで寝泊まりして、働くのか 「会長、そのことなんだけど。休日は、働いてもらうとすごく助かるけど、学生にああいう仕事はさせられないし、部屋も残念ながら空いてないの」 あぁ、それは申し訳ないな 「あ、あの、私、あの家でいいですよ。バイトすればお金も何とかなるし」 本当は、帰る家なんてないけど しょうがないよね 「それでは、龍也に示しがつかない。あいつにはよく助けてもらってたし、無茶もやってきて貰った」 「でも、住むところがないのであればしょうがないです。お兄ちゃんも、会長の気持ちはわかってくれただろうし」 「じゃあ、ここに入れれば?」 だ、誰? お兄ちゃんと同い年くらいかな スーツ似合ってるし、すごいイケメンな人 「いやぁ、ここに女を入れるのはさすがにな」 「じゃあ、男ってことにしたら?」 「それはできないだろ」 「いや、この子、髪が長いだけで、龍也に似てるから髪切って服帰れば大丈夫だと思う」 「確かに、それならいけるかもな」 あれ? 私が男装する話になってる 「えぇー、こんなの可愛い子に男装なんて」 そうですよね! いくらお兄ちゃんに似てるからって 「しかし、仕方ないだろ」 「まぁ、そうだけど」 「じゃあ、凛、お前がこの子の髪切ってくれるか」 「いいけど。ショートは学校にひびくから、中性くらいの髪型でいいわね」 「あぁ、そこら辺はお前に任せる。あと、服のサイズとかも測っといてくれ。性別バレないようにオーダーメイドでスーツを作るから」 あぁ、話がどんどん進んでく まぁ、髪くらいはいいか 「住むところはは仁(じん)と同じでいいだろ。その方が都合がいい」 この、お兄ちゃんと同い年くらいの人はり仁って言うんだ 「あぁ、しょうがないし、俺が1番龍也にお世話になったしな」 へぇ 「送り迎えもやってやれ。多分この子は狙われやすいだろうから」 「あぁ」 「じゃあ、ひとまず、この子の髪を切りましょうか」 あれ?お兄ちゃんってどこで働いてたんだっけ たしか 大野組っていう あっ、ヤクザだ! ヤクザ? それってまずくない? どうしよう ここで働くの? でもあのままだと、住むところもないし お兄ちゃんが言ってたところだから大丈夫なのかな 怪我は多かったけど いつも楽しそうだったし 私、大丈夫なのかな だ、大丈夫だよね きっと
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