荷造り

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荷造り

「乗って」 大きな事務所の地下まで降りてきた それにしてもかっこいい車だなー 黒だけど普通の黒じゃない感じ 「は、はい」 こういうときは、後ろだよね 「ん、前、乗りなよ」 えっ、前!! 会話続くかな 「はい」 車内 「えーっと、葵だっけ」 「あっはい」 「龍也にお世話になったっていたでしょ。 俺ね、龍也と同い年の20歳なんだけど」 やっぱりお兄ちゃんと同い年だったんだ ちょっと雰囲気お兄ちゃんと似てる気がする 「実は俺ね、龍也の1年後に組に入ってさ。似たような歳の子もいなかったから龍也には兄貴みたいにしてもらってたんだ」 「そーだったんですね」 「君の話はよく聞いてたよ。いつも、自慢の妹だって言ってた」 私にとっても自慢のお兄ちゃんだった 「龍也はみんなが憧れるくらい強くて、優しかった」 そんなに慕われてたんだ 「いつか、俺のあこがれになっててね。アイツみたいに強くなってやるって、いつも思ってたよ」 仁さんまで 「君のことは俺が守るよ。きみのためのにも龍也のためにも」 力強い笑顔 笑い方もお兄ちゃんにそっくり 「ありがとうございます。」 こんなの人にまでに慕われて、幸せだろうな 私も頑張らなきゃ お兄ちゃんのためにも 「着いたよ」 懐かしい でも、もうここにはいられないんだよね 「俺はここで待ってるから荷造り終わったらよんで。運ぶから」 「はい、ありがとうございます」 「ただいま」 荷造りっていってもあんまりないんだよな 「よしっ」 あっ、アルバム 懐かしいな これは持っていかなきゃね お兄ちゃんのどうしようかな 時計、スーツ、香水 高そうなのも残ってるしな 仁さんに聞いてみようかな 「あっ、あの」 「あぁ、荷造り終わった?」 「はい、終わったんですが、兄のものってどうしましょう」 「君はどうしたい?」 えっ 服と靴はぶかぶかだし 香水とか時計は使えるかも でも服も靴もお兄ちゃんのものだし 捨てるには心が痛むような 「君が使えそうなものは君が使って、使えそうにないものはこっちで預かるよ」 でも、、、 「ふふっ、大丈夫。捨てたりしないよ。誰かが着るとは思うけど」 「あっ、じゃあそれでお願いします」 「それじゃあ運ぼうか」
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