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私には己の欲らしい欲というものがなかった。
付き合いで宝石を手にし、流されるように力を手にした。
ただ、有象無象が跋扈するのが気に入らなかったのは間違いなく、其等に手を下すことは自分で選んだ。
「■■君…」
持ち得る人らしい感情といえば、有象無象に対する嫌悪感とある人への恋慕のみだろう。
そう…あの少年と彼等に出会うまでは。
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その日も街を歩いていると愚者に出会った。
「おねーさんおねーさん!暇なら俺とお茶しない?」
見知らぬ軽薄男。
普段ならスルーするところだが、そいつが無造作にぶら下げていた物を私は見逃さなかった。
「…断ったらそのベルトで襲おうって魂胆かしら?」
初手から目論見を看破したその台詞に男の顔が驚きに染まる。
「っんだよ…お前もベルト持ちかよ。なら言わなくてもわかるよなぁ…?」
強さを誇示するかのようにベルトを装着う男。
『チェーンジ!センチピードオルフェノク!』
姿が百足を模した死装束へと変わる。
もとより醜悪な悪意が、より醜い力となり顕現する。
「…貴方には是で十分かしら」
取り出した宝石は知る者の界隈では贋作と言われているもの。
相応の力はあるが、それは本物の力には及ばない。
『Set up!』
「変身」
「チェーンジ!仮面ライダー!デルタ!」
『complete…』
蒼銀光線が身体を駆け巡る。
光の収まりとともに、
私、榊 陽菜は死装束の守護者にして、天敵…
仮面ライダーデルタへと変わる。
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