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「龍が可能性を認めた子供はねぇ、世のため人のために尽力する、傑出した人物になる場合が多いの。過去にいた人じゃ、国一番の剣士や行商王、発明家、お医者様、大臣とか……」
わあ、なんか姉ちゃん俄然楽しみになってきたな、と優乃は瞳をキラキラさせて両手を打った。頬が紅潮している。
「よーし、加那汰。これから死ぬ気でがんばれー、未来は明るい!」
「ええっ、なに盛り上がってんだよ、つーか待てよ、主が龍ってことはっ」
つまりあの凪だって、と、わめいたところで、ぐらぐら大地が揺れる。
「な……なんだ? 地震かっ?!」
扉を蹴破るようにして外に飛び出すと、隣近所の村人たちが口々に騒ぐのが聞こえた。
「どうやら北坑道あたりで、大規模な崩落が起きたらしいぞ」
「――おい、あれを見ろ!」
村人たちの視線の先、蓬山の頂の上に弧を描きながら飛翔する、巨大なモノ。
加那汰は思わず目を見張る。胸が震えた。
――凪だ。あれが凪の本当の姿なんだ。
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