小さい人と白い花

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カゲロウの透明な(はね)が羽ばたく。 銀の粉を散らしながら。 その細い体をしっかりと足で挟み、手綱を握りしめる。 激しく上下しながら飛ぶので、乗りこなすにはちょっとした技術がいる。 (おさ)の病気を治す薬草を採るために、リシルは森の浅い所までやってきた。 木の根元に生えている薬草を少しだけ、お裾分けしてもらう。 そのお礼に「小さい人」たちが住む所にしかない、きのこの胞子を植え付けてやる。 菌が住みついた木の根は、土の栄養をごくんごくんと吸収できる。 リシルが無事に薬草を手に入れた時、草を分ける足音が近づいてきた。 ーー人が来たようだ。 そばの木が根を少し引き抜き、リシルの姿を隠した。
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