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片道2年もかけて、私たちは火星に到着した。
結局あの馬鹿げた試練では10人の人が残ったけど、実際に火星行きのシャトルに乗り込んだのは私を入れて6人。
過酷な訓練で脱落した人も数人。
そして応募者とは別に科学と宇宙のスペシャリストの黒沼さんも一緒に乗り込んだ。
まだ人類が到達したことのない火星。
元々行きたくなんてなかったけど、こうなったらものすごい功績残して、世界の住人を仰天させてやる。
今回の探索では生物は見つけられなかったが、帰りのエネルギーになりうる鉱石を発見した。
「黒沼さん、これって何ですか?」
「トール石じゃないか。よく見つけたな」
私の大発見のおかげで地球への帰還も夢じゃなくなった。
数年分の食料の他に実験器具も積んでいたロケットで、鉱石からエネルギー物質を取り出すのに成功した。
といっても一言で語れないぐらい長い実験や採掘を繰り返したのだけど。
火星に着いて一年を過ぎ、ついに地球へ帰還する日が訪れた。
もちろん帰りも二年ちょっとかかるけれど、地球はもうすぐ目の前のような気がした。
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