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そのホテルの大本は結婚式場などを主体としたイベント会社である。
ホテル業界に参入して4~5年で恐ろしいまでに急成長を遂げ、今では旅行観光雑誌特集の『もう一度行きたいホテルトップテン』などに名前が載るほどのホテルになっている。
ここまでの急成長できるホテルなのだ。
落ち着いた中に煌びやかさを融合した外観もさることながら、きっと会社の企業努力と育成が素晴らしいのだろう。
依舞稀が必死に調べた中で、一番興味を引いたホテル。
それが『HOTEL KIRIGAYA』だ。
入社試験を受けたところで人選はかなり厳しいかもしれないが、これを逃す手はないだろう。
依舞稀は頭の中で、色々な条件を整理してみた。
自宅から通うには遠いので一人暮らしをすることになるが、なんとかなる給料が明記されている。
実家を離れると言っても、新幹線を利用すれは二時間ほどで帰れる距離だ。
これならばちょこちょこ実家の両親に会いに帰れるし、両親の心配も減るだろう。
考えれば考えるほど、こんなに魅力的なホテルはそうそうないかもしれない。
依舞稀は善は急げとばかりにHPの会社概要を細かくチェックし、社員募集のバナーをクリックしてエントリーシートを送信した。
「どうかご縁がありますようにっ」
PC画面に手を合わせ必死に祈りながら、依舞稀はエントリーシートを作成し、勢いよく送信ボタンを押した。
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