第一話

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ゲームのトゥルーエンドはまだ未プレイでどうなったのか分からない。 苦しい、まだ…生きたいのに、人前で歌いたいのに…やりたい事がいっぱいあったのに…どうして…俺なんだ…… 結局、癌は治る事はなく……苦しんで苦しんで…生涯を終えた。 あんなに良くしてくれた家族にありがとう…と一言言えたら良かったのに… 今日は俺の誕生日だからと、妹が学校が終わる頃の夕方に来る予定だった。 それは余命通りだったのか、突然の死だったのか今の俺には分からない。 両親は知っていたのだろう、だけど俺の前では明るく振る舞っていた。 時々引きつっている笑いをしていたが、その意味を余命を聞いていたからだったんだと今なら分かる。 妹は嘘が下手な性格だから、きっと何も知らないのだろう。 ゲーム、ありがとうな…きっと…ずっとあのゲームの事は忘れないよ。 生まれ変わったら、今度こそ夢を叶えたいと強く願った。 生前家族に恩返し出来なかった分、俺の歌で一人でも笑顔に出来たなら…
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