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 コンビニに寄り、まだ食べていなかった昼飯用と、夕飯のためのカップ麺をカゴへ入れた。わざわざ自分が働いているのとは別のコンビニを選んだというのに、目新しいものはない。レジで煙草の番号を言った時、聞き返してきたオッサンの顔が、自分に似ている気がして不安になった。  安い家賃だけが取り柄のアパートへ帰宅する。部屋の空気は淀んでいる。時折窓を開けたりしているが、この淀みが消える事はない。  古びた六畳一間。こんな場所に暮らす人間の性質など容易に想像がつく。この場所には、そうした俺と似た人間達の怨念が染み付いているように思われた。空の青さにすら腹を立てる俺には却って居心地よい場所だと言えたが、そんなこの部屋に住んでいるからこそ、その怨念達がヘドロのように足に纏わりつき、この停滞した現状から脱する事を妨げているようにも思えた。  玄関からの靴の匂いと、シンクのカビの匂いが混在するキッチンでお湯を沸かす。万年床に腰を下ろし、そのお湯で作ったらカップ麺を埃の積もったテーブルで食べ始める。  真横に立つ雑居ビルのせいで光が殆んど射し込む事のない薄暗い部屋。丸いプラスチック容器の中、黒い液体に浸かったぐちゃぐちゃとした物体は、到底人間が食う物のようには見えなかったが、そんな事で電気代を消費するは癪だった。部屋の中が獣の油の匂いで満たされる。窓を開けようと頭に過ったが、それは一度下ろした腰を上げる理由には成り得ない。
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