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 本人は、ここ数年で加速度的に進んだ支払い方法の多様化などを言い訳にしてそれを誤魔化したつもりになっているようだが、分からない事がある度に呼び出される俺からすれば、あまり強い態度に出られない事もあって、新人以上に手の掛かる人物だと言えた。  そんなメンバーで夕飯時の混雑を凌がねばならないとあっては、流石の俺も一機の機械として作業をこなし続ける事は難しい。  こうなる事を分かっていながら定時に帰っていった店長。レジの前に列が出来ているのというのに急ぐ素振りも見せず、当然のように俺を頼ってくる篠田のオッサンへの怒りが体の内側で加熱し続け、もう一時間も同じ状況が続けば、怒鳴り声を上げ、そのまま帰宅してしまってもおかしくはないような状態だった。  きっとそんな思いが態度にも現れていたのだろう。どうにかピークをやり過ごし、漸く手が空いたところで、見計らっていたかのように新人の木場が声を掛けて来た。 「すごい忙しさでしたね。ごめんなさい。私、迷惑ばかりかけてしまって」 「あ、いや。別に……」 「高木さんって、私と同じ歳なんですよね? 店長さんから聞きました」 「えっ? そうなんだ」 「みたいですよ。私、これまでアルバイトの経験もあまり無かったので、同じ歳の人がここまでちゃんと働いているの見ると、すごいなぁと思っちゃいます」
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