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私は父に虐待されている。
母は私が物心つく前に病気で他界したという。
父は毎日のように酒を浴びるように飲み、仕事で溜まったストレスを私にぶつける。
服の下には青アザがいくつもできた。
更に家では一言も喋るなだそうだ。
私の声がイラつくみたい。
放課後、今日も私は父のストレスの捌け口になっている。
目付きが気に入らなかったようで髪を掴まれて怒鳴られる。
すると、誰かがやってきた。
私の名前を呼ぶ声がする。
同じクラスの女子のようだ。
父はめんどくさそうに玄関に向かう。
扉を開けると心配そうな顔のクラスメイトが立っていた。
実は学校で青アザを見られてしまった。
理由を聞かれたけれど、私は逃げるように帰ってきた。
父はイラつきながら帰ってくれるように言っている。
問答のすえ、クラスメイトは父の了承もなしに上がり込んできたようだ。
後ろからは父の怒鳴り声が聞こえる。
酒瓶が散らかった部屋に横たわる私を見つけたクラスメイトは泣きそうになりながら近づこうとする。
しかし父は腕を掴み、頬に平手を打ち込む。
瞬間、私の中でなにかが弾けた。
気がつけば立ち上がり、手には包丁を握りしめている。
涙をこぼすクラスメイトと鬼の形相を浮かべた父が、私を見つめる。
包丁が視界に映ったとき、父は顔を歪ませた。
そして私は、初めて父の前で叫んだ。
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