第3章

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 「乾杯、お疲れ様でした」  村田は元気よく乾杯の音頭をとった。  一声に四人は大きい声で乾杯するコップに入っているビールを持ち上げ声を出している。  「仕事の後のビールは美味しいね」  村田は妻帯者である。  以前なかなか羽目を外して、仕事帰りにアルコールを飲む機会が無いとぼやいていた。  年頃の娘と妻の目が煩わしいと、飲む機会があり誘われても断ることが多かったと言っていた。  しかし、どう言う訳だか新しい部署のすず達とは楽しく呑んでストレス解消になるから、楽しいと言っていたことが、すずの頭に記憶として残っていた。  結婚するとこの様な気持を持ちながら仕事を男はするのかと、世の男性に同情さえしていた。  たとえ良妻賢母の女性でも、家族の為に働いている夫をせめて社員との飲み会を理解してくれたらと独身のすずには、そんなことを村田の妻に分かって貰いたかった。  すずなら如何なのか?  (私なら理解したい)  九条から差し出されたチュー杯を片手に口元に運んだ。  微笑んで見ている雄大。  心配そうに顔をジッと見詰める壮大。  勢いずいた村田は美味しそうに呑んでいる。  「こないだの様に上手にお酒と仲良ししないとね」  九条は笑いながらすずは答えた。  「承知しました。 羽目を外さないようにしますね。 酎ハイ美味しいです」  村田は最初にビールを飲んでいたので、飲みかけのグラスの、すずはビールを注いだ。  「溢れないようにするように、さては覚えたね。 加藤さんは見る見るうちに大人の女性になって素晴らしいよ」  二杯のビールでテンションが上がるとは、余程楽しい飲み会なのだろうか?  九条もビックリから酎ハイに代わり淡々と静かに呑んでいる。  雄大はビールだけにし、壮大ハイボールに代えて呑んでいた。  仕事のはなしはこの場ではタブーと村田が言っていたが、やはり気持ちの中では気にしていたのだろう。  さり気なく雄大を見ながら言った。  「今日は大変でしたね。 所でおおよその見当は付いたんですか」
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