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「マコトが興味あるなら、途中の階に立ち寄っても構わないけど……」
「いえいえ、私のことは気にしないでください。こうして一緒に居られるだけで楽しいですから!」
並んでエスカレーターに乗りながら、マコトは誠一の腕に手を回して、体も近づけてくる。
こういうのも悪くない、と誠一は思う。
「じゃあ予定通り、四階で楽譜を見て……。その後は、向かいの喫茶店にでも行こうか? あっ、でも、マコトは食べたり飲んだり出来ないのか……」
「それでも行きたいです! 気分だけでも味わえますから。でも私が注文するパフェは、誠一さんが代わりに食べてくださいね」
「ははは……。もうコーヒーじゃなくパフェ頼むって、決まっているのか」
エスカレーターの上で、二人は仲睦まじく話す。
マコトは地縛霊だが、家を出る前に聞いた話によれば、今日の夜くらいまでは外出可能らしい。
ならば、せっかく繁華街まで来た以上、カラオケやボウリングやビリヤードなど二人で色々と遊ぼう。
今日のこれからを、そう想像する誠一だった。
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