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夕方。
部室での作業が終わり、誠一は帰宅する。
アパートの三階に住んでいるのだが、そのアパートが見えてきたところで、ちょっとした異変に気が付く。
「あれ? 俺、電気消すの忘れたか?」
誠一の部屋の窓から、明かりが漏れているのだ。
それこそ飯田への冗談にあった同棲生活が事実ならば、部屋の電気がついているのは、不思議でもなんでもない。同棲相手が先に帰っている、ということだ。
しかし誠一は一人暮らしの大学生であり、同居人などいない。
「まさか、泥棒? いや泥棒なら、電気なんて消したまま、盗みを行うはず……」
とりあえず、急いで階段を駆け上がり、ガチャリとドアを開ける。
すると、部屋に入ってすぐのところに、人影があった。
「おかえりなさい」
一人の女性が、三つ指ついて正座したまま、誠一の帰宅を待っていたのだ。
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