腕のいいマッサージ師です

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 高校卒業後、専門学校に通ってあん摩マッサージ指圧師の資格を取った。 兄貴と違って勉強できないし、いわゆるやんちゃ坊主だった俺は ネクタイしめてってなことには不向きだと解っていた。 そういうところは賢いなと自分で自分を褒め称えた。  だから手に職をつけて、将来的には雇われの身から一人経営者になれるような仕事に就きたいと思ってこの資格を取った。  卒業後、まずは整骨院で働いた。 ここで4年勉強した後、いわゆるリラクゼーションサロンに転職。 動機は不純で、若い客、特に女性客が多くてこっちもリラックスできそうだというのが理由だった。会社帰りのOL、ショップの店員、 それに若いサラリーマンのにいちゃん。年代が近いと話が合うし、 なんといっても気に入ってもらえれば指名してくれるっていうのも 大きな魅力の一つだ。指名料が上乗せされるからだ。 「次も真樹生先生で予約いれちゃってもいいですかぁ?」 なじみ客の年上OLは、月に2回は施術にやって来る。 誰もが名前を知っているIT企業にお勤めで、服もバックもいかにも高そうなものを身に着けているところから、かなり財布に余裕があるらしいことは 簡単に推察できた。 「ありがとうございます、今ならお好きな日と時間に予約入れられますよ」 「じゃあ給料日のこの日に・・  奮発して90分1万2千円のアロマコースにしちゃう!」 声を弾ませ体をくねらせる年上OL。売り上げ貢献してくれるのは 大変ありがたいが、俺の方から食事を誘えよ的な戦術を仕掛けてくるのは 勘弁してもらいたい。
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