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「あら? 何か聞こえる!」ヒメが言いました。そして長い耳を音が聞こえた方向に向けました。
「僕には聞こえない。さすがヒメちゃんだね!」
ふふふっとヒメは笑って、白くて長い耳をピンとアンテナのように立てて、耳をすませました。
「ステラって言っている!」
「きっとご主人よ!」ステラのしっぽが、右に左に跳ねました。
「よし! じゃあ行こう。ヒメちゃん、声の方に案内して」
イチはゆっくり歩き出しました。ステラは落ちないようにイチの甲羅の上で伏せをしました。
「こっちこっち」
かけっこのコースから大きく外れた方向へ、ヒメはピョンピョン跳んで行きました。少し行っては立ち止まり、振り返って二匹が追いつくのを待ちます。そしてまたピョンピョン跳ねて進みます。
三匹の姿を見送ると、インコのピー子も飛び去りました。
やがて「ステラー、どこだい? 戻っておいで!」と呼ぶ声が、カメのイチにも仔犬のステラにも聞こえてきました。
そして大きな木が生えている曲がり角を曲がると……、背の高い男の人が立っていました!
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