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「私達の方が仲良しに決まってる!」
ヒメはイチの首にふわふわの白い手を回してぎゅっと抱きつきました。長い耳が垂れてイチの顔にかぶさります。イチはくすぐったくて嬉しくて、くすくす笑いだしました。
「ごめんね」どちらからともなく自然に出た言葉は、大好きのしるしです。なぜかというと、「ごめんね」は、仲直りしたいから。そして仲直りしたいのは相手のことが大好きだからです。大好きな相手と仲直りしたかったら、ちょっと勇気を出して、自分から素直にならないといけないとヒメとイチはわかったのでした。
「おーいおーい」道の向こうから、うさぎとカメの大人達がやってきました。いくら待ってもヒメとイチが戻ってこないので、心配していたら、インコのピー子が戻ってきて、行き先を教えてくれたのです。
「それで、どっちが速かったんだ?」大人達が聞きました。
ヒメとイチは顔を見合わせてにっこりすると、声を合わせて言いました。
「ステラ!」
見上げれば、オレンジ色に染まりはじめた空に、一番星が輝いていました。
さて、うさぎとカメが住んでいる村は、百年目の年に「星(ステラ)の村」という名前になりました。うさぎもカメも素敵な村の名前に満足でした。
(おわり)
最後まで読んでくださってありがとうございました(*´∀`*)ノ
秋月一花
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