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徳田はXOを継ぎ足した。価値観が近い。弱い者虐めが大嫌いだ。貧乏人を騙す奴が許せない。
「ですがもう保険金は支払ってしまった。仮に私達二人で殺人と断定することが出来たとする。保険会社はもうぶり返して欲しくないと言うでしょう。損害を被った保険屋がテーブルに載せなければ警察も動かない。二人で乾杯して終わりですか」
「台湾人の父親と酒のつまみによく話します。いつの世も弱いもんが損をする。父親は日本人から虐められている中国人や朝鮮人をたくさん見た。戦争だから仕方なかったのか。そうじゃなく、もしかしたら残念だけど、そういう日本人の気質があるのかもしれないと言っていました。私が父に保険屋もうちの事務所も深追いはしないと話すと、お前が正してやれないのかと悔しそうに零しました。その二人も身内がないとはいえ、木の股から生まれたわけじゃないだろう、何処かで誰かと過ごした過去がある筈だ。それぐらい墓前で知らせてやれないのかと言われました」
林はグラスを揺らして口にした。
「私は今やくざの依頼を二件、浮気調査を三件受け持っています。やくざもんの一件は延ばせるが一件は喫緊です。浮気調査はあなたが少し手伝ってくれれば二~三日で片付くと思う」
「五十万有ります、これは保険会社からこの案件の終息金、今後燻ることが無いように、所謂、後片付けをしろと預かった金です。五十しかないと言うべきでしょうか。私の報酬は不要です」
話が決まった。大きな仕事の支度金としては寂しい額である。足りない分は悪党から取り上げる。
「それで林さん、関内探偵はどうするの?」
「暫く都橋興信所の調査員と言うことで」
徳田は早速浮気調査の資料を見せた。そして事務所の合鍵を渡しルールを説明した。林は資料のポイントをメモして立ち上がった。
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