序章〜神々との契約…そして新たな運命が動き出した④

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序章〜神々との契約…そして新たな運命が動き出した④

     ✴︎3話〜死闘‥そして契約{改}       ※※※※※※※※※※※  キングオーガは痛さのあまり、激しく暴れていた。  ガルドはフラフラになりながら、キングオーガの動きを警戒しつつ、何処かに弱点はないのかと、考えていた。 「ど、どうやったら、こいつを倒せるってんだ!?ハァハァ、このままじゃ……どうにかしねぇと」  しかしキングオーガは、ガルドにそんな余裕すら、与えるはずもなかった。  キングオーガは暴れていたが、ガルドと目が合い睨み付けた。  ガルドは動くのが、やっとだったが、渾身の力を振り絞り立ち上がると、キングオーガに剣を向けた。 (どうする?……考えてる余裕はねぇ。とにかく何とかしねぇと)  するとキングオーガの右足が、ガルドを踏み潰そうとしていた。  ガルドは身の危険を察知し、キングオーガの右足の裏に、とっさに剣を突き刺すと、そのまま力まかせに押し上げた。  弱点だったらしく、キングオーガはその痛みと、勢いで後ろに倒れた。  ガルドは、今ここでこのチャンスを逃したら、間違いなくやられると思い、キングオーガの足の裏に刺した剣を引き抜いた。  そしてガルドは、左足を引きずりながら、キングオーガの胸元まで来た。  するとガルドは、今ある全ての力を剣に注ぎ込み、キングオーガの胸に勢いよく突き刺した。  胸に剣を刺されたキングオーガは、 「グオォォォォーーーォォーーー!!」  と叫び、痛みと苦しさで暴れ出した。  するとキングオーガの右手が、ガルドに直撃し払い飛ばされ、近くの岩場に背中を強打した。  しばらく暴れていたが、剣で刺された傷が致命傷になり、キングオーガは息絶えた。  ガルドは背中を強打し、ほとんど動くのが困難だった。  だが、キングオーガの事が気になり、地べたを這い、恐る恐る近づき、死んだ事を確認すると、その場に倒れ込んだ。  ガルドは死闘の末、瀕死の重体となり、生死の境をさまよっていた。   “ここはどこだ?俺はいったいどうなった。……確か、キングオーガと戦って、倒したまでは覚えてる”  ガルドはそう思いながら、辺りを見渡すと、見た事もないような、まるで幻想世界のような場所にいた。  “ いったい、どうなってるんだ?ここは何処だ! ”  そう思っていると、誰かが近づいて来た。  “ ……ん?あれは誰だ!その前に人なのか? ”  近づいてきた者は、人には似ていたが、余りにも、この世の者とも思えないほどの、オーラを発していた。  その者はガルドの側に来ると語りかけた。  “ お前がガルド=フレイか。なるほどのお ”  “ 誰だ?お前は……。その前に、何で俺の名前を知っている?それに、ここは何処なんだ? ”  “ 何故お前の名を知っているのか。それは、我が神だからだ”  そう言い一呼吸置くと、  “我は、この世界の守護を司る神であり、世界の守護神グランワルズである。そして、ここはお前の意識と、我の意識を繋げた意識世界”  そう言われガルドは困惑した。  “ ちょ、ちょっと待て!神、って事は、俺は死んだのか? ”  “ いや、まだお前は死んではいない。だが、あのまま放っておけば、魔物の餌になるだろうがな”  “ それって、すごくまずいんじゃねぇのか!でも、どうすれば…… ”  “ 助かる方法はある。ただガルド。お前の選択しだいになる”  “ 選択しだいって……それは、どういう事なんだ? ”  “ ガルド、お前には今から道を選んでもらう”  グランワルズは、何故ガルドの前に、自分が姿を現したのかを話し始めた。  “我は神王様の命により、お前に神の言葉を伝え、契約する為に現れた。そう神々はお前に、この世界を救って欲しいと願っている ”  “ 俺が、世界を救う?”  “ そう。神王様は、今のままでは、世界のバランスが崩れてしまうと、嘆き悲しんでおられる”  “世界のバランスが崩れる!?”  “ああ、そうだ。我は考え調べた。前ほどではないが、未だに人間と魔族、人間同士の争いが何故、絶えないのかと”  ……グランワルズは、それを目論む者が、神の中にいるのではと考えたが、それを証明するものはない。  そう思いグランワルズは、それを証明する為、神王にこの事を伝えた。  すると神王は、どうしたら良いかと考え祈った。  人間または魔族の者で、王になる者の力を借りなければならない。だが、これをなし得る者が存在するのかと。  だが、本来なら神が人間や魔族に対し、全て手を加えてはいけない、決まりになっている。  神がして良い事は、助言や手助けや援助等。  しかし、神と契約した者に対しては、それに付け加え、守護。神によっては、遙か高みへと導く事が出来る。  だが、それはあくまで、その者が必要とした時のみである。  “そして神王様は、英雄王にふさわしい者の存在を見つけた。だが、他の神々を納得させる必要があった。その為、お前を試したのだ”  “ ……試したって!?じゃ、今まで、俺の周りで起きていた事って、お前達の仕業だったのかよ! ”  “ そういう事になる。だが、これは必要な事だった。本当に、お前が英雄王になる器か、確認する必要があったのだ ”  “ だからって……。神は平気で、人の命を奪うのか?俺達の命ってぇのは、そんだけの価値しかねぇのかよ! ”  “ガルド、我々に弁明の余地はない。だが、こうするしかなかったのだ”  “あまり納得はしたくねぇ。だが……分かった。ただ、気になる事がある。何で俺が英雄王なんだ?”  “ガルド。何故お前が、英雄王にならないといけないのか。これはお前……いや、お前の父親にも、関わる話になる”  “親父に関わる話?”  “うむ、そうなのだが……我の口から、この事を話して良いものかと思っている。ガルド聞くが、お前の両親の生い立ちを知っておるか?”  “いや、知らねぇが。ただ、親父も母さんも、ディクス村の生まれじゃねぇ。……もしかして、俺が英雄王になるって事と、何か関係があるのか?”  “うむ、おおいにある。だが、やはりこの事は、自分で調べ納得した方が良いだろう”  “親父っていったい?……”  “その事について、知りたいのであれば、英雄王となれば、自ずと知ることになるだろう。だが、今のままでは死を待つのみ”  そう言うとグランワルズは、ガルドに決断を迫った。  “お前は神々に認められた。後はお前が選ぶだけだ。世界を救い英雄王の道を進むか、このまま死を待つかをな”  ……そう俺はここで、道を誤ったのではないかと思っている。今思えば、もしかしたら他に、もう一つの道があったのではと……  ……だが……。  ガルドは考えた。本当にこれでいいのかと、でも選択は2つだけだった。  神の助けをかり、世界を救い英雄王になるか、このまま死を待つか。  そしてガルドは……。  “ ……もう一つ聞きたい事がある。もし仮に、世界を救い英雄王になったとして、俺自身なにか変わるのか? ”  “ ああ、変わる。ただ、どう変わるかは、お前が進み選ぶ、道筋しだいとなるがな ”  “ 俺はまだ死にたくない。まだやりたい事は沢山ある。それに、もう孤独に生きるのは嫌だ!”  そう言い下を向き一点を見つめながら、  “それだけじゃねぇ。何で俺が、英雄王にならないといけねぇのか?親父の事も気になる。ましてや、神にここまで言われたら断れねぇ”  するとガルドは、グランワルズに視線を向けた。  “あ〜、クソォッ、分かった!何処まで出来るかは分からねぇ。でも、やらなきゃならねぇんだろう。世界を救う道を選ぶ。それでいいよな!”  “ ガルド、すまぬな。だが、お前にしか出来ないのだ”  そう言うとグランワルズは、ペンと紙をガルドの目の前に置いた。  “ ガルド、紙に書いてある文章を読み、サインをして欲しい。そうすれば契約は成立し、我はお前に力を貸す事が出来る”  そう言われガルドは、紙に書いてある文章を読み始めた。 【私ガルド=フレイは 先々までも 神々を尊い崇め 人々を助け 世界を救い 英雄王となる事を 誓う】  ガルドは文章を読んだ後、サインをした。  するとペンと紙は消えた。  “ ガルド。これで我は、お前に助言や守護する事が出来るようになった”  “ それで、これからどうするんだ?”  “ これから、お前には旅に出てもらう。いま以上に力をつけたら、神秘の都スカイネーブルに、向かって欲しい”  “ 神秘の都スカイネーブルって!?あれは、お伽話の中だけに存在するんじゃねぇのか? ”  “ いや、実在する。ただ、たどり着いた者が少ないだけなのだ”  “ そうか分かった。もっと強くなり、俺はそのスカイネーブルに行く。それで良いんだよな ”  “ ああ、そうだそれで良い。さて、お前を助けねばな”  そう言うとグランワルズは、杖を天に翳し一振りした。  するとガルドの意識は回復し、かなりの傷を追っていたが、動けるようになっていた。  そして、ガルドは辺りを見渡すと、先程キングオーガと戦っていた場所にいた。 (これは、俺はどうなったんだ?あれは夢……いや違う、まだ鮮明に頭に残っている)  そう思いながらガルドは、自分の手を見た。 (俺が世界を救う?とんでもねぇ事を引き受けちまったような……まぁ、やるしかねぇよなぁ)  そう思っているとガルドの頭の中に、グランワルズが語りかけて来た。  “ ガルド、聞こえるな。お前は契約を結んだ。これからは必要な事、聞きたい事があれば、我を呼べいいな ” (おい!聞きたい事は山ほどある。ここを出たら、って、お〜い!返事がねぇ)  するとガルドは頭を抱えた。 (なんなんだよ!一方的に話して、途切れるって。はぁ、とにかくここを出ねぇとな)  そしてガルドは男の死体を担ぎ、荷物を持つと洞窟を出て、村へと向かった。
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