4人が本棚に入れています
本棚に追加
四.
ある日モ吉の噂を聞き付けて、一人の屈強そうな眉をした侍が尋ねて来た。
「お主の相手はこの村にはもうおらぬ。城に来い」
侍はそう言った。
「お侍さま〜おらぁ、この村から離れたくねぇ。断るぞ〜」
モ吉がそう返すと
「ならば……」
侍が鞘から刀を抜き放った。それをモ吉に向かって振り下ろそうとする。
「待ってくだせぇぇ〜お侍さま〜! 代わりにわしが!」
慌ててじいさんが叫ぶと侍は動きを止め、じいさんの顔を見詰めた。
「……」
じいさんがほっとすると
「いざっ!」
再び侍が刀を振り下ろそうとする。
「なら、ばあさんが!」
侍が動きを止め、じいさんの顔を見詰めた。
「……」
じいさんはほっとすると
「いざっ!」
再び侍が刀を振り下ろそうとする。
「待ってくだせぇ!」
今度はモ吉が叫び、侍は動きを止めた。
「やっぱりおら、お城に行きます! おらが死んだら、おっとうもおっかあも飯が食えなくて死んでしまいます」
「ならば、付いて来い」
こうしてモ吉はお城へと行くことになったそうな。
つづく。。。
最初のコメントを投稿しよう!