七.

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七.

   そして幾日か経ち、とうとうモ吉の親が見付かった。そしてあの侍がモ吉の家に知らせに来ると同時に連れに来た。 「おっとう、おっかあ、おら行って来る」  モ吉は行きたくなかったので悲しそうに言った。 「達者でな」  ばあさんが言った。 「二度と戻って来るんでねぇぞ」  じいさんが言った。 「参るぞ」 「へえ」  こうしてモ吉は侍とまた徒歩で歩いて行った。  それから歩いて半日ばかり、やって来たのは町の片隅にある小さな木の家だった。 「ごめん!」  侍が戸を叩いた。 「あいよ〜!」  そう言い中から女が出て来た。 「お主の息子を連れて来た」 「ありゃ〜〜」  女は驚いた。 「おっかあ」  モ吉が言った。 「おめえがおらの息子か?」 「そうだぞ」  すると侍は 「拙者はこれで失敬する」  そう言い去って行った。         つづく。。。
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