4人が本棚に入れています
本棚に追加
七.
そして幾日か経ち、とうとうモ吉の親が見付かった。そしてあの侍がモ吉の家に知らせに来ると同時に連れに来た。
「おっとう、おっかあ、おら行って来る」
モ吉は行きたくなかったので悲しそうに言った。
「達者でな」
ばあさんが言った。
「二度と戻って来るんでねぇぞ」
じいさんが言った。
「参るぞ」
「へえ」
こうしてモ吉は侍とまた徒歩で歩いて行った。
それから歩いて半日ばかり、やって来たのは町の片隅にある小さな木の家だった。
「ごめん!」
侍が戸を叩いた。
「あいよ〜!」
そう言い中から女が出て来た。
「お主の息子を連れて来た」
「ありゃ〜〜」
女は驚いた。
「おっかあ」
モ吉が言った。
「おめえがおらの息子か?」
「そうだぞ」
すると侍は
「拙者はこれで失敬する」
そう言い去って行った。
つづく。。。
最初のコメントを投稿しよう!