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一.
むか〜しむかしある村に、じいさんとばあさんが住んでおったそうな。
じいさんは、ばあさんのことを『なあなあなあ』と呼び、ばあさんは、じいさんのことを『おいおいおい』と呼んでおった。
毎朝ばあさんは山へ薪を取りに行き、じいさんは川で洗濯をしていたそうな。
ある日のまだ夜も明けきらぬ頃、ばあさんは目を覚ました。外のほうから声が聴こえてくる。それは『おぎゃあおぎゃあ!』と赤子が泣いている声だった。ばあさんは布団から抜け出し、恐るおそる声のするほうへ歩いて行くと、それは納屋のほうから聴こえてきた。納屋の前に来てばあさんがその戸を開けてみると
「あんれまあ~!?」
ばあさんは仰天した。なんと中にはたまのようにかわいらしい赤子がおったそうな。驚いたばあさんは、家でぐうぐう眠っているじいさんを布団を剥いで叩き起こすと有無も言わせず引きずって納屋まで連れて行った。
「じいさんや、見ておくれ。これは天からの授かりもんじゃ〜」
納屋までやってくるとばあさんは、赤子を抱き上げてうれしそうに言った。
「まったくお前は、物事を良いほうに考えるのぅ。大したもんだぁ」
じいさんは言った。
「気の優しい人が置いてったんかのぉ」
ばあさんは赤子を高いたか〜いと持ち上げた。
「気が優しい人は置いてかんじゃろ〜」
「そうか〜じゃあ捨て子じゃのぉ」
ばあさんは、しぼんで垂れ下がった乳を赤子に無理やり飲ませようとした。
「おぎゃあ゛〜〜っ!」
すると赤子は嫌がって泣き出した。
「そうじゃあ、お前は納屋から出てきたもも○ろうじゃ(?)。わしの名前の吉をくっ付けて、モ吉にしよう」と名付けたそうな。
つづく。。。
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