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Prologue
「──なあ、『捕食魔事件』って知ってるか?」
「なにそれ。怖い話?」
「今から18年前の話だ。スキー場で修学旅行中だった一人の男子生徒が行方不明になった。一年経っても見つからず……誰もが死んだと思っていた。でもそれから二年後、いなくなった男子生徒は見つかって無事に保護されたんだそうだ。体は骨と皮を絞ったようにガリガリに痩せ細っていたんだって……」
「可哀想……その子に何があったの……?」
「それはわからない……その男子生徒……仮に『A君』と名付けておく。A君はそのあと、治療の甲斐もあって、元気に学校へ通うようになるほど回復したらしい」
「よかったじゃない」
「ああ。でもな……A君はそれから奇妙な行動を取るようになったんだそうだ。給食の時間になると、A君は顔色を悪くして、給食に一切手をつけられなくなった。クラスメートや先生はA君を心配して、給食の時間は保健室で休ませるようにしたらしい」
「いい学校ね」
「ところが、だ。それから三週間後、“事件”は起きた……」
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