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──血濡れの少年を食べ終えたレミアは糸が切れたようにふらっと倒れ、ホロミ先生はレミアの後ろから彼女の体をそっと受け止めた。
ホロミ先生は血まみれだった死人の顔から薄い皮が顔中を纏い、元の美しい顔に戻っていく。
「……今日のディナーはどうだったかい?」
学校一の美男教師に抱かれる状況はコーストランド高校の女子生徒にとって夢のシュチュエーションになるはずだが、レミアは顔を赤らめるどころか、眉を吊り上げて不機嫌な表情を更に濃くした。
「……どうして先生がここにいるの……」
「……おや、ひとけの無い道を歩く生徒を心配して、あとをつけてはいけなかったかい?」
「ストーカー……今すぐ逮捕されろ……」
「ハハハハ。ストーカーとは酷いじゃないか、レミア……たった一人の兄に向かって……」
「家に帰るまでは『先生』──でしょ?」
──ナオは目の前で起きた出来事がまだ信じられずにいた。
同級生が怪物に殺され、死んだと思っていた転校生の少女が生き返り、怪物の姿になった少女が怪物を喰らい、そして、いまでは上半身がはだけた血まみれの美少女が、長身の色気ある美しき男性に後ろから抱かれている光景が繰り広げられている──
──すると、ナオの存在に気がついたホロミ先生は困った顔をした。
「……そうだった。きみのことをすっかり忘れていた。ナオ君はボクらの“正体”を見てしまったんだね……」
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