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ナオはホロミ先生の一言にビクッと肩を震わせた。
普段学校で生徒と話す際に見せる優しげなホロミ先生とは違うギラリとした“殺気”を目から漂わせている。
──すると、ホロミ先生に体を預けていたレミアが力を取り戻したようにホロミ先生から離れた。
「……ここはワタシに任せて」
レミアは脱いだ衣服を着直し、体を小刻みに震わせているナオのもとへ近づいた。
「レミアさん! 今日のことは誰にも言わない! 約束するから!」
「……あなたを生かしておいて、ワタシ達になにか得ある?」
「……それは……」
ナオはしばらく考えた──その結果、浮かんだ答えにナオは引き笑いした。
「……ない……かな……」
すると、レミアは後ろで見ているホロミ先生には聞こえないように声を小さくした。
「……よく聞いて。あなたはまっすぐ家に帰って。シャワーを浴びて、晩御飯を食べて、布団に入るの。明日になれば今日のことは忘れてる……」
「そんな……簡単に忘れるワケないじゃない! ……コズミがあんな死に方して……冷静にスイッチ切り替えるなんて私には無理だよ……!」
絶望と哀しさで潤んだ声になったナオにレミアは人差し指をナオの額にそっと当てた。
「……これは夢だから……とても悪い夢。起きたら普段通りの朝があなたを待ってる……だから──」
レミアはナオの額に当てた人差し指をツンと軽く押した──
「今夜は、“おやすみ” ──」
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