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「授業中に怪我をした女子生徒を心配したクラスメートが保健室に訪れると、床一面に血の海が広がっていたらしい……」
「A君がやったってこと?」
「わからない。保健室に入ったクラスメートはこう証言したそうだ。『そこはもう保健室じゃなかった。血の海の真ん中に女子生徒の肉片と臓器が散乱していた』って。A君はバラバラになった女子生徒の肉を、まるで空腹を満たすかのように……笑いながらずっと彼女の肉と骨にむしゃぶりついていたらしい」
「おそろしい話ね……それで……その子はいまどうしてるの?」
「A君はこの町の山奥にある診療所で治療を受けてる、ってことになってる」
「『なってる』って……どういうこと?」
「今から一週間ほど前、A君は入院してた診療所から忽然と消えてしまったらしい」
「え、それって……」
「ああ……A君はいまもどこかにいる」
そして、噂好きの男子生徒は意味ありげな笑みを浮かべた。
「もしかしたら、きみのすぐ近くに立ってるかもな──」
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