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──赤毛の長い髪に透き通った白い肌。
緑色の瞳をしたその女子生徒は数日前に転校してきた少女だ。
無表情を崩さない彼女から発する冷たい空気感もあってか、誰も彼女に話しかける者はいなかった。
「彼女の名前はたしか……レミアさんだっけ? すごく美人よね。あのクールな佇まい……惚れちゃうわ」
「え、ナオって百合だったの?! それは……ちょっとショック……あ、でも妄想するとそれはそれで興奮するかも♪」
「キモ。そういう意味じゃなくて、なんかレミアさんって謎が多いじゃない? 無口だから何も話さないし。給食だって食べずに弁当持参ってのもワケありな感じがする……」
「ミステリアスな人って女子は好きだよなぁ~」
二人が話していたその時──白銀の髪色をした背丈の高い男がナオの隣のテーブルに給食のトレーを置いた。
「……ここって空いてるかな?」
「あ、ホロミ先生……はい。空いてます……」
ナオは隣に座った長身の男に顔を赤らめた。
シュッとした輪郭に色気のある目をした彼は、ナオの通う高校で英語教師をしている。
彼に声をかけられて心臓を跳ね上げない女子生徒はいない。
ホロミ先生に対して露骨に態度を変えたナオの様子を見て、コズミはつまらなそうな表情を浮かべた。
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