FILE01.捕食魔事件

3/16
前へ
/20ページ
次へ
──赤毛の長い髪に透き通った白い肌。  緑色の瞳をしたその女子生徒は数日前に転校してきた少女だ。  無表情を崩さない彼女から発する冷たい空気感もあってか、誰も彼女に話しかける者はいなかった。 「彼女の名前はたしか……レミアさんだっけ? すごく美人よね。あのクールな佇まい……惚れちゃうわ」 「え、ナオって百合だったの?! それは……ちょっとショック……あ、でも妄想するとそれはそれで興奮するかも♪」 「キモ。そういう意味じゃなくて、なんかレミアさんって謎が多いじゃない? 無口だから何も話さないし。給食だって食べずに弁当持参ってのもワケありな感じがする……」 「ミステリアスな人って女子は好きだよなぁ~」  二人が話していたその時──白銀の髪色をした背丈の高い男がナオの隣のテーブルに給食のトレーを置いた。 「……ここって空いてるかな?」 「あ、ホロミ先生……はい。空いてます……」 85984bff-a970-47a6-8dff-e3344ea0568d  ナオは隣に座った長身の男に顔を赤らめた。  シュッとした輪郭に色気のある目をした彼は、ナオの通う高校で英語教師をしている。  彼に声をかけられて心臓を跳ね上げない女子生徒はいない。  ホロミ先生に対して露骨に態度を変えたナオの様子を見て、コズミはつまらなそうな表情を浮かべた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加