16人が本棚に入れています
本棚に追加
……バリバリ……グチュギチュ……
……ジュルルル……グチュグチュ……
路地裏の角から漏れてくる不気味な咀嚼音──
ナオは角の向こうにあるものを覗きたい好奇心と、ここから今すぐにでも立ち去りたい衝動が反発しあっていた。
(大丈夫……いざとなった時はコズミが男として何とかしてくれる)
ナオは後ろにいるコズミのほうを振り返った──だが、コズミは顔色を真っ青に悪くし、役に立ちそうにない。
ナオはため息を吐くと、ブロック塀の角から顔を覗かせた。
すると、ナオの目に映ったのは二人の影──
制服を着た女子生徒が道の上に倒れ、女子生徒の体の上には血にまみれた患者衣を羽織った少年が馬乗りになっていた。
グチュギチュ……ズルズルズル……
少年は動かなくなった女子生徒の腹から腸をえぐり出していた。
片手には女子生徒のちぎれた右腕を握り、ちぎれた部分からはポタポタと血が滴り落ちている。
ナオは戦慄しながらも、自分と同じ制服を着ている女子生徒の死体に目を凝らして見た──
死体となった人物の正体はすぐに分かった。
(レミアさん……!?)
最初のコメントを投稿しよう!