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レミアの透き通った白い肌と白の制服は鮮血に染まり、右腕を失くした彼女の腹からは長い触手のように腸が飛び出していた。
(ここにいたら私も彼女のように殺される……!)
ナオは静かに体を後退させた──だが、後ろにいたコズミが凄惨な現場を目の当たりにして大声をあげた──
「ば、化け物だああああ!」
レミアの肉を食べていた少年がコズミの声に反応し、眼光を鋭くして振り向いた。
「おれはあんな死に方したくない! だれかぁ助けてっ!」
コズミはナオを置き去りにして走り出した──
「ちょっと! コズミのあほっ!」
すると突然、血濡れの少年がナオの横を物凄い勢いで駆け抜けた──少年はあっという間にコズミの背後に到達し、コズミの頭を両手で掴んだ。
「……え?」
──バキバキッ!
少年は軽々とコズミの頭をもぎ取った──頭を失くしたコズミの胴体は切断された首の断面から噴水のように血潮を激しく噴き出し、力なく倒れた。
「……うそ……コズミが……あんな簡単に……」
ナオは目の前で起きた出来事に茫然とした──
逃げ出す事も無謀だと思い知らされたナオは膝はガクガクと震わせて、ただ目前に迫る死を待つしかなかった……。
……くちゃ……くちゃ……
少年は口の中に残った肉片を味わい、もぎ取ったコズミの頭部に舌を這わせながら、ゆっくりとナオのほうに近づいてくる。
(死ぬならせめてこんな地獄を直視せずに死のう……)
ナオは死への抵抗を諦めて、目を閉じた──……
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