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「失礼する!風紀委員である!生徒会の奴らはどこにいる!?」
微妙な雰囲気が流れる中、生徒会と入れ違いにその風紀委員2人が食堂に入ってきた。こちらもまた非常にイケメンズである。
「…もう不在じゃないか貴様は報告が遅すぎるんだ!」
「ひぇーっ堪忍堪忍!」
怒られている人の方は関西人らしい。エセ関西弁使う奴なんじゃ?と疑っちゃうな。
「なあ、正樹、あいつら誰…?」
「えっあー俺も初めて見るぜ」
正樹って呼ばれるとすごい新鮮に感じる。なんだかビクッてなってしまった。
「あ、おったおった!あいつらやで委員長!」
関西人がこっちを指差すともう1人の眼鏡の人、委員長がぐんぐんと迫ってきた。そして目の前まで来て足を止めると眼鏡の真ん中を指でクイッと上げてレンズを光らせた。
「ふん、貴様らか風紀を乱したとかというのは」
「は!?ちげーよオレらは悪くねえよ!!あっちの方からいきなり…」
威勢よく裕二は反抗するが、後半になるほど声が小さくなってしまう。まあ確かにチューされたなんて言えねえしな。
「バ会長には後で聞き出すとしよう。だからひとまず貴様らにも拝聴させてもらう。着いてきてもらおうか」
「え…」
なんだか凄い面倒臭いことになったな。憂鬱に思いながらその委員長の後を着いていこうとする。だが、裕二はよっぽど嫌なのか意固地になっていた。
「やだ!オレは悪くねえもん!!」
「ええからついてきてよ、頼むから…」
関西人は涙目になりながら尽力を尽くしていた。仕方ねえなー。
「あの、委員長」
「なんだ?」
眉をひそめながら振り向いた。
「裕二の代わりに俺が全て話すんで、それじゃあダメっすか」
「はあ?ダメに決まっているだろう。貴様が嘘をつく可能性も有り得るからな」
「でもこのままじゃ、裕二が着いて行っても多分口割らないっすよ」
図星をつかれたのか眉がぴくりと動いた。
「お願いします。本当に」
なんでこんなに懇願しているのかと言われたら、やっぱり裕二に偽名で嘘をついてしまった罪悪感だろう。何かしらの形でもこの不満を晴らしたい。
「…仕方がない。いいだろう」
「えっまじすか!あざっす!!」
「その言葉遣いもきっちり教え込んでやろう」
「えっ」
委員長の口元に笑みが浮かんでいた気がした。
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