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「きゃあああああああああ」
「おせっせさせろおおおおお」
注文しようとパッドを見ている時にまた熱い叫び声が食堂内を包み込んだ。
てかもうおせっせって言っちゃったじゃねーか。
また生徒会か…。ため息を吐きながら入り口の方を振り返ると、意外な人物達に目を見張った。
「あれ、昨日のやつらか!?」
「…そう、だな」
なんと風紀委員長と奏佑先輩が立っていたのだ。すると風紀委員長と目が合って2人はこちらに向かってくる。
委員長は全然良い…けど親衛隊が怖い。そして奏佑先輩。絶対に駄目だというかもう鳥肌立ってて不味いんだって。
すると膝の上のいつの間に震えていた手に誰かの手が添えられた。その手の主を見ると風早が大丈夫だ、とでも言うように優しく微笑んでいた。
「…おい、正樹。昨日は大丈夫だったか」
気付けば目の前に委員長が立っていて、振り返るが掛けられた言葉に?が浮かんだ。
後ろに立つ奏佑先輩がひょっこりと出てきて委員長の言葉から続けるように口を開く。
「あー正樹も昨日急に倒れたから覚えてへんかもしれへんな!」
ニコニコと笑みを浮かべているが、恐らくこれは風早流威圧感を与えてきているのだろう。うまく誤魔化せって顔に書いてあるのが丸わかりだ。
「…っすね、ただの体調不良だったかもしれないっす」
「おい、敬語だ」
「いてっ」
頭を軽くペシッと叩かれた。周りからキャーっと悲鳴が上がっている。やべえ忘れてた親衛隊がお怒りかもしれない。
内心で焦っているといきなり目の前にペットボトルのお茶が出された。
「あ?これは…」
「体調が悪かったのだとしたら…昨日無理やり連行してしまった俺のミスだ。すまなかった」
「え!違いますよ!その…ほんとに夜更かししてて…」
否定するもまあお茶は受け取っちゃうんだけどね!嬉しいし!
「とりあえず、早く体調を直せ。用件はそれだけだ。じゃあな」
頭をポンポンされた。親衛隊達はそれがトドメだったようで鼻血を出し倒れていた。…あ?鼻血って興奮した時とかじゃねえと出ないんじゃ…気にしないでおこう。
「は、はい…さようなら」
委員長は食堂で飯を食べに来た訳では本当になさそうで、ドアへと引き返して行った。
そのまま後ろを着いて行ってとっとと消えてくれと願っていたがそうもいかないようで。
「まーさーき」
「っ!?」
奏佑先輩は帰り際に俺の腕を引っ張って無理やり立たせる。また食堂内のあちこちで悲鳴が上がる。お願いこれ以上俺から平穏を取らないで。
またニヤリとして耳元に口を寄せると、
「また昨日の続きしような」
それだけ言うと「ほななー」と棒立ちの俺に手を振って委員長の後を追いかけて行った。
その言葉で先輩とは絶対に2人きりにならないようにしなきゃと強く決意した。
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