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「オレ、久遠 裕二!皆、オレと友達になって欲しい!ていうかもう友達決定な!よろしくな!!」
少し戸惑っているようなテンポが遅れた拍手が響き渡った。
先生に言われて席に向かうワカメのようなモサモサ頭で伊達メガネを付けている男子を見ながら、俺は水瀬に声を掛けた。
「なあ、俺が転校してきた次の日にまた転校生ってすごくね?」
「うんそうだね…」
「なんでそんな顔真っ青にしてんの?」
「うんそうだね…」
「耳大丈夫??」
水瀬は汗を顔中にダラダラ垂らして歯を震わせながらブリキ人形のようにこっちに振り向いた。
「いやだってぇ!やばいよあの王道転校生は宇宙人タイプのやつだよ!」
「は?それって昨日話してたやつのことか?」
そう、昨日で仲良くはなったが水瀬が腐男子だとかいう衝撃の事実を告白してきてそれからはよくわからない話ばっかりしてきた。確か、王道BLとかの王道転校生は宇宙人のように意味不で頭がぱっぱかぱーでとにかくヤバいやつだから近づくな、だっけか…?
「そそ!だからあまり話さない方がいいよ!もしかしたらやばい事になっちゃうかもしれない」
「ふーん、ま、俺も転校してきたばっかだし目立たないように大人しくして…」
「え!お前も転校してきたばっかなのか!!?」
鼓膜が破れるんじゃないかと思うほどの声量に思わずびっくり。後ろを振り向くとワカメメガネが眼鏡越しに瞳をキラキラさせながらこちらを見つめていてびっくり。
え、もしかしてワカメメガネの席って俺の後ろ?
「え、あ、おう…」
「俺と一緒だな!!仲良くしようぜ!!お前の名前は!?」
なんだか危険を感じて水瀬の方を振り向くと、首を横に振りながら接するんじゃない!とでもいうようなさっきの表情で見てきた。
「え、えと…田中〜…ご、ゴリズンっす」
だから偽名を使ったがなんだかとんでもない名前を作ってしまった。なんだゴリズンて、何語だよ。
「え?ご、ゴリズン…?そ、そうかゴリズンか!いい名前だな!!」
「あ、あざっす」
嘘つけまったく思ってないだろ。一瞬困惑した顔が丸見えだったぞ。ていうか頼むから大声で言わないでくれ。他のクラスメートもは?って感じになってるから。
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