さよなら俺の平穏

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「つーかすげえな。生徒会役員以外でコイツらの本性暴き出せたのお前が初めてだぞ」 「…はあ」 先生に誤解を解いてもらって副会長も殴って上から退けてもらうとまた高級丸テーブルを1人追加で囲って謎の流れで唐突すぎる紅茶会が始まった。 「あの、本性って」 「会長と副会長がドが付く程のサド・マゾだっていうことだな」 「ですよねー」 わかってたけどさあ、2人揃って性癖異常者って…こんなのってないよ。 頭を抱えていると副会長が猛反発してきた。 「はー!?なんだよそのドン引き、ゴリズンだってホントはさっきの亀甲縛りで目覚めかけてただろ!?なんならこっちの世界に来いよ!」 「ゴリズンじゃなくて八神 正樹だっつーの!それに目覚めては…えと…」 「お、お前ら…え…?」 「今度は先生ドン引きしてきてるから話掘り返すのやめよう?」 1人で優雅に紅茶を飲んでいる会長は皿に空になったカップを置くと恐らく副会長のせいでやつれた顔をしているだろう俺に話しかけてきた。 「おい、正樹だったか?なんでそいつがあんなドS王子様キャラを演じているか分かるか?」 「え、分からないっす。Mなのを隠すため?」 内心でいきなり名前呼びか…と思ったのは秘密だ。 「ふっ、実は俺にも分からねえ」 いや分かんないのかーい。 「…別に大したことじゃないよ。腐女子の姉にこの学園でその王子様キャラを演じてほしいってお願いされたから」 「…お願い?」 「嘘!命令!!」 と言いつつも舌を出してハフハフさせているのは俺の幻覚だと思いたい。 「…なあ、正樹。話変わっちまうけどさ」 先生がこの茶番みたいな場とは合っていない急に真剣な声を発してきて首を傾げながら振り向く。 「なんでお前、1回も紅茶に口付けないの」 思わぬ言葉にぎくりとしてしまう。それを聞いて頭に浮かぶのは奏佑先輩と、出されたお茶の場面。なんの感情からか唇を噛む。 「あーえっと、すげえ言いづらかったんすけど俺、実は紅茶苦手で…」 ぎこちない笑みになってるだろうなと自覚しながらも装った。 「とか言って本当は早速媚薬入れられて騙されたとか?」 「はは、流石にそれはないかー!」と冗談のつもりだったのかケラケラと笑う。対して図星を突かれた俺は顔どころか全身に汗をびっしょり流してプルプルと体を揺らしながらこくこくと頷いた。 「…え?もしかしてマジ?」 「え゛?」 片目がピクピクして裏返った声が出ると同時に一瞬言葉を失って目をまん丸にしていた3人が体を前に乗り出してきて血気盛んな質問攻めをしてきた。 「君嘘下手すぎだろというか媚薬ってどういうこと!?」 「一体いつ誰に何処でそのようなことをされたんだ!」 「なんでそんな大事な事を先生に言ってくれなかったの??」 ひいい皆さん顔が厳ついことで! 「あーっそういや今授業中だったなー教室戻らなきゃなー!」 視線を逸らして下手くそな口笛を拭きながら軽めな声をあげると全速力で生徒会室から逃げ出した。自分の脚の速さに感謝! 後ろから「逃げるんじゃねえ!」とか怒鳴り声が聞こえたけどまさきしらない〜。
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