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教室に戻るのと同時に丁度授業終了のチャイムもなって、教室が緩和モードになったのに紛れて後ろのドアから自分の席にこっそり着いた。こっそりといってもバレてると思うけどな。
すると恐らく風早と話してた裕二が凄い勢いでこっちに突っ込んできた。
「正樹ー!」
「わわっ抱きつくなよビックリすんなあ…」
「そんなら1時間目どこ行ってたんだよ!」
裕二は目をキッとしながら俺の事をジッと見つめる。
「あ?それは…」
親衛隊達を怒らせてしまい亀甲縛りされてそれから生徒会室行ってトランプしてましたなんて言えるはずもなく言葉がつっかえる。
「…え、えと、猫が空中座りしてた!…夢を見た」
「え?つ、つまり寝てたってことだよな。今度からは俺も誘えよ!」
「おう…」
サボってたことに関してはなんも言ってこないのかと思ったがそれは心に留めておこう。それともうちょっと上手い嘘をつけるように練習しておこう。
裕二がジュース買いに行くとやらで教室を出ていくと、今度は隣の席の水瀬がBL本を片手に話しかけてきた。
「おい、頼むからこれからはサボんのやめて」
「あ?なんで?」
「大変だったんだよ、宇宙人君に話し掛けられて」
そうボヤく水瀬は泣き出しそうで憂鬱な顔をしていて口から魂が出そうだった。
その様子を見てあ、そこまで大変だったんだと目をぱちくりした後肩に手を置いて慰めるように笑いかける。
「まあまあ、でもお前が言ってた通りにそこまで宇宙人じゃなかっただろ?」
「それはきっとマサキっち限定なんだよ…」
「…?お、おう」
よくわからないが裕二は俺にだけ宇宙人じゃないそうだ。
「なんだよおうって!他人事のようにキーっ許せないわっんもおおお」
涙目でBL本を叩きつけてくる。ある意味目立つからやめてほしい。
「まあまあ落ち着けって」
「はん、いいよ。明日の新入生歓迎会でいっぱい栄養補給してやるんだからぐへへ」
初めて聞く単語があったことにきょとんとしてしまう。
「あ?今変わった単語が…」
「変わった単語とか喧嘩売ってんのかてめえオラァ!」
「おい人格崩壊すんなよ」
「俺のような腐男子にとっては神のようなイベントなんだからな!いやーもう早く明日になんないかなーん」
水瀬は頬を赤く染めながら鼻の下を伸ばしてキモイ顔をしながらえへえへとする。
「うわあきも…ところでその親衛隊歓迎会だっけ?何すんのそれ」
「おい今の罵倒聞き逃さなかったぞ俺は!あと親衛隊歓迎会じゃなくて新入生歓迎会ね!親衛隊歓迎しちゃあ大変なことになっちゃうでしょ!」
言った瞬間水瀬はあ、取り乱してしまったみたいな表情をしてから裏を向いてゴホンゴホンと咳をしてからキリッとかっこつけた顔をする。いや日常からして取り乱してる気がすんだけどな…。
「つーかすることって…そんなの鬼ごっこに決まってるっしょ!!」
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