さよなら俺の平穏

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『去年まで行っていた鬼ごっこは隙を見てなのか起こる強姦や制裁などが危険だと言うことで断念となり今年からはビンゴ大会となりました。ですのでこれからビンゴ大会のルールを説明いたします。まずは生徒会役員の皆様が─────……』 「きいいいいい…!にゃんにゃんするのがいいんだろがぁぁ!」 「……」 翌日。水瀬が言っていた通りに朝登校してから直ぐに体育館に整列して新入生歓迎会を行うこととなったが、司会が話している様に鬼ごっこではなくなって隣に並ぶ水瀬は悔しそうにハンカチを噛んで文句を垂れていた。ハンカチ噛む人とか本当にいるのか…。 「別に鬼ごっこじゃなくても変わらな」 「うっさい黙ってて!!」 「う、うす…」 余程不機嫌なのかプンスカしながらそっぽを向いてしまった。ええ…そこまで? 『それではビンゴ大会を開始します。ステージ上にあるモニターに注目してください─────』 「…?」 司会の言う通りにしていると、前の方から俯いて怠そうにしているまたもや小柄な男子が体育館とは逆方向に、つまりこっち側に体をフラつかせながら歩いて来ていた。 全生徒が起立しているからあまり目立ちはしない。だが視界に入ったからかやっぱり気になっちゃうもので、歩いてくる様子を心配に思いながら俺の横まで来るところを見ていると、 「…あっ」 「!?」 丁度横で俺の足を引っ掛けてしまい倒れてしまった。まずい、そんなに俺の足邪魔だった? 「すいません、大丈夫っすか??その、さっきから見てたけど気分とかも」 早急に駆け寄ってしゃがみながらその子の体を起こす。その子は「んん…」と気分が悪そう にエロかわいく…え?エロかわいく?? その子は辛そうに顔をあげる。だが俺はその子の顔の完成度に雷に打たれるかのような衝撃を受けた。 「大丈夫…です…あ、でも…その、体がだるくて、動けなくて…」 ぷるんとした桜色の唇、そして艶々の髪の毛、紅潮した頬…え?女の子じゃないのこの子?? もしかしたら本当に女の子なのではないかと目を擦って、固まりながら制服の下を見るが、お決まりのようにズボンだった。 …だよねええええ!クソォ! 「…俺のせいでもあるんで保健室までお連れしますよ」 俺は震えながら手を差し出した。 「あ、ありがとうございます」 ふわっと花が咲くように微笑んだ。性別変えれないもんなのかな…。
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