さよなら俺の平穏

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夢を見た。小さい頃のかわいい弟と走り回りながら遊んでいる夢だ。 これが夢だと察しながら今弟はどうしてるかなぁと懐かしくなった。今度帰れたらまた一緒にたくさん話したいな。 だがそうして懐かしがるのを邪魔するようにペチペチと止まらない速度で頬に衝撃が走る。 「…おーい」 うつろに眠い頭の中で誰かの声が響いた。なんだようるせえなぁ…と頬の衝撃を避けるように俺は寝返りを打つ。 「起きろ!」 「いっつ!?」 今までのとは比にならない程の力で頬を平手打ちされた。俺叩かれてたのね。 渾身の一撃を食らわされたためかもう目はパッチリと覚醒していて、叩いてきた人物を首を頑張って動かして見上げたら、さっきのやべー奴がにんまりとした笑みを浮かべながらうつ伏せ状態の俺を上から覗き込んでいた。俺の背中に乗って。 なんで起きなかったんだろう俺…? 「…な、何お前」 少々戸惑いながら聞くとそいつは唇を尖らせる。 「何お前って、起こしてあげてたんだけどー!」 「起こしてあげたって寝かした張本人お前だろが」 「えー僕なんのことかわかんなーい」 「あのなあ…あ?」 手を動かそうとするが動かなくて、足も同じく動作することはなかった。それに額に汗がにじむのを感じた。 「えへへ、もちろん動かせるわけないじゃん!寝ている間に縄で縛ってあげたんだから」 「…おい、これってマジの制裁ってヤツ?」 なんだか実感出来なくて苦笑しながら問う。 「マジの制裁って…あー!もしかして亀甲縛りなんて馬鹿なことをした子達のことを言ってるの?」 思考を読み取られたようで一瞬固まる。 「…馬鹿なことって、ま、まあ確かにそうだけど。でもなんでお前がそいつらのこと知ってんだよ」 「だって、君に制裁するように指示したの僕だもん」 そいつの可愛い顔がニヤリと歪んだ。 「…そういうことかよ」 「そういうことー!あ、でも君の机にカッター入れといたのは僕だけどね!」 それを聞いて青筋が浮き上がるのを感じた。…てめえかよ原因は。 「ふふ、余っ程お怒りだねえ。あ、なんなら見る?さっき話してた子達のこと!」 「は?どういうこと…」 意味不明なままそいつは俺の上から横に退いた。だがそいつがいて見えなかった向こう側にいるそいつらを見て絶句してしまった。 「あはは、良いざまでしょこの子達!」 ロープでまとめてぐるんぐるん巻きにされて、目も口もガムテープで封じられていた。そいつらも状況をよくわかっていないのか「んーっんー!」と言葉にならない声を上げて暴れていた。 俺は信じられないと再びそいつのことを見上げた。 「そんな目で見られても…この子達が悪いんだよ?親衛隊総隊長の僕の言う通りにしないんだから」
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