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「…ぅ、擽ったい…っあ…」
「おい動くな、逃げたらわかってんだろうな」
「〜っだ、だってこれ、絶対調教とか関係ないじゃないすか!!」
必死に訴えても聞かずに椅子に座らせた俺の手の指に騎士のように膝をつきながらキスを落とす会長。
服は脱がされてはいないがその他の露出している肌には1回1回丁寧に、そしてわざとなのかキス音を鳴らしながら口付けされる。
「てかファーストキスすらまだっていうのに…っ、身体中にキスって、さすがにレベル高いっすよぉ…!」
現にそのせいで俺の顔は真っ赤だ。生理的反応からって言って欲しい…尚且つ今の状況が理解出来なくて目ん玉がグルグルしてる。
「…っふ、でも嫌だとは思ってねえんだろ?」
気分が向上しているのか機嫌が良さげな声で俺の靴下を脱がしてくる。
「はっ?ちょ、なんで靴下脱がして…っ!」
「お前も結構感度高ぇな。ノーマルっぽいのに」
上目遣いで動揺している俺のことを見つめながら熱のこもった目を細めて口元を緩めながら俺の足裏にチュ、とリップ音を鳴らしながら口付けの雨を降らしていく。
「…ん、そこ、汚ね…ぁ、俺、ノンケだし…っ」
「…ふーん、勿体ねえな。ネコの才能あんのに」
ジト目で俺を見上げながら再び足の指の間まで唇を落としていく。
ネコって何?と聞けないほど俺は余裕が無くなっていた。クソ…女臭い自分がなんだか悔しくて唇を軽く噛みしめる。
「…そういや、忘れてたけど前お前が言ってた媚薬の件、あれどういうことなんだ」
「…は?」
突然キスの動きを止めて真顔で俺のことを目に険がある眼差しでじっと見つめる。
…ほんとにいきなりで吃驚したけど、恐らく俺のことを心配して聞いてくれてるんだろう。でも仕掛けた相手、奏介先輩のことを言ったらどうなるのか…なんだかんだデメリットしか感じないから一応黙って置かなければ、と思い定めた。
「…あー、まあ事故ですよ。間違えて砂糖と媚薬間違えちゃったらしくてぇー」
「お前嘘下手だな。そんな間違えするわけないだろ」
「…ッスよね」
「いいからさっさと吐け」
「ッあ…!?」
今度は立ち上がって俺の顔にキスしてくる。そのせいでまた顔に熱が宿り、耳、鼻、頬、額など…そしてたまに唇に触れそうなギリギリの位置に口付けてくる。
だが歯を食いしばってそれに耐える。絶対漏らさねえぞ…。
「おい、いいのか?もしかしたら接吻しちまうかもしれないぞ」
「ご、強姦されかけました!」
「…容易いな。それで、誰にされた?」
顎クイと言うヤツをされて会長へと顔を向けさせられる。怒っているのか会長の目が怖い。
「それは絶対、死んでも言えないっす」
そう言うと会長の片方の目がピクリと動いた。
「…じゃあ、どこまでされた」
「肌を撫でられたぐらいっす」
「…そうか」
すると突然俺の私服のシャツのボタンを外し始めた。…んん、何故だ!?
「ちょ、何いきなり脱がしてるんすか」
「上書きしてやる」
「いやそんな乙女ゲーみたいな台詞吐いても…てか何気にトラウマなんすよやめてください!」
主に集団レイプされかけたのが!
結構ガチで訴え掛けると会長も納得してくれたのか「…そうだな」と、しぶしぶと不満そうな顔をしながら止めてくれて、ボタンも留め直してくれた。
「まあ、また来週すればいい話だしな」
…全然話聞いてないよこの人!
そして、隠していたのか急に満足気なオーラを漂わせて会長は腕時計を見てから俺に「そろそろ仕事に戻らなくちゃいけないからまた明日、7時に来る」と言って手を上げて部屋を出て行った。7時に決めたのは多分他の生徒に見られないようにする為だろう。頭が良い。でも仕事があるのならそっち優先してくれ。
…それにしても本当にすげえ嵐のような人だったな、と俺はその場で首を垂れた。
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